2026/02/20 08:43

栃木県佐野市。
万葉集にも詠まれた三毳山に、春のわずかな期間だけ群生する花があります。

カタクリ。

古くからこの地に息づくその姿を、私たちは金属に刻みました。

意匠は、三毳山の稜線を思わせる幾何学文様。
裏面には、日本の伝統文様「星七宝」。
七宝は、円が永遠に連なり広がることから、円満・調和・繁栄を象徴する吉祥文様です。

そして、この作品は必ず「対」で仕立てています。

カタクリの花言葉は「初恋」「寂しさに耐える」。
その可憐さの奥にある静かな強さに、私たちはもうひとつの願いを重ねました。

孤高ではなく、共生へ。
耐えるだけでなく、育む未来へ。

二枚が並ぶことで完成する構成は、この土地の自然観と、日本の美意識を写しています。
単品販売を行わないのは、商品仕様ではなく、設計思想です。

地方に根ざしながら、普遍性を持つ工芸として。
佐野の春を宿す一対は、共に歩む人生への静かな贈り物です。